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運動神経

筋肉は、脳の命令を伝える運動神経の刺激で動くと表現されていたために運動神経が存在すると誤解されてきましたが、実は、運動神経というものは、存在しません。

運動ニューロンは、脊髄から全身に広がり、末端で枝分かれ(神経終末)し、自らの意思で動かせる骨格筋まで伸びています。それによって、骨格筋は、収縮・弛緩・伸張をコントロール(制御)されています。ちなみに、お腹側を通る服内側系は、体幹。背中側を通る背外側系は、手足動きを制御してます。



身のこなしの巧みさや、スキルの上達に関わっているのは、運動ニューロンではなく、小脳と大脳です。小脳は、大脳の10分の1程なのに、1000億個以上と大脳よりも多くの神経細胞から構成されています。

サッカーや、バスケットボールのドリブル、自転車の乗りこなし、楽器の演奏などの動きは、慣れれば、無意識で動かせますが、姿勢や重心をこまめに制御し、手足を協調してタイミングよく動かす複雑な情報処理が、欠かせません。

小脳には、このデータ処理のプログラムが書き込まれています。脳科学では、小脳に保存されているこれら一連の動きを内部モデルと呼んでいますが、内部モデルが、良し悪しによって、スポーツの上手い下手に別れているのだと思います。


ウサイン・ボルトさんと、イチローさん

例をあげますと、陸上の100m走や走り幅跳では、人が、速く走ったり、遠くに跳ぶ動きでは、スタートからの加速が遅くなりやすいうえ、走っている時の空気抵抗も大きくなるため、190cm台の体格の大きなアスリートは、短距離走や走り幅跳に向かないとされてきました。



例えば、2002年から2017年まで、ジャマイカの元陸上競技短距離選手だったウサイン・ボルトさんは、196cmと長身。下半身が長く、走行時歩幅が2m75cmにも達していたと言われています。

通常は、100mを走り切るのに、45~46歩程度要しますが、ウサイン・ボルトさんは、41歩で、走り切ることが、出来るうえに、頭が、小さいため、空気抵抗を比較的小さく抑えられていると考えられてました。

従来の選手は、レールの上を走るように滑らかに機械的に走ってましたが、ウサイン・ボルトさんは、上半身を揺らしながら走られていました。

身体を揺らして走ると、その振動に対抗するために無駄な力が、必要になると考えられますが、身体の揺れと走る動きのタイミングを一致させることで、揺れが、逆に相乗効果を生んでいたのだと考えられました。



大きな体格のアスリートが、集まる大リーグでは、華奢なイチローさんのようなアスリートが、パフォーマンスによって、神経筋制御により機能性を高めらる可能性を示してくれていました。

身体には、約600の骨格筋があり、人の生理作用と神経反射を、それぞれタイミング良く動かすことが出来れば、人間は、思いも寄らない力を出せる可能性があるということになります。


脊椎α運動ニューロンと筋収縮

一次運動野の神経細胞の興奮によって生じるインパルス信号を、下位の運動系に伝達する皮質脊髄路は、軸索の大部分が延髄で交叉し、対側の脊髄を下行しているため、随意的な筋の活動は、主に対側皮質の神経指令によって調節されることになります。



覚醒状態の人における皮質脊髄路の興奮性は、対側の一次運動野に対する経頭蓋磁気刺激 (transcranial magnetic stimulation: TMS) によって被検筋から生じる運動誘発電位 (motor evoked potential: MEP) の振幅変化によって評価されています(Rothwell et al. 1991; Di Lazzaro et al. 1998)。

被検筋を随意収縮させると、 MEP が、安静時よりも大きくなり、その程度が、収縮強度に依存することが広く知られています (Rothwell et al. 1991; Taylor et al. 1997; Di Lazzaro et al. 1998; Martin et al. 2006)。


不随意的な筋活動

筋収縮中の皮質脊髄路の興奮性は、安静状態よりも高まることを意味していて、トレーニングすることによっても、発揮筋力や運動の巧緻性が向上すると、皮質脊髄路の興奮性がトレーニング前よりも増大することも報告されています (Jensen et al. 2005; Griffin and Cafarelli 2007)。



このように、皮質脊髄路の興奮性増大は、人の随意的筋力発揮や発揮筋力の増大、及び運動の巧緻性に密接に関連していて、姿勢の維持やロコモーションの中において、身体の動きを、動きの制御と運動力学から動きの仕組みを融合していると考えるのが、神経筋制御論です。


キネマティクスとキネティクス

身体の動きは、神経筋系の活動と、それを取り巻く外部環境との相互作用で成り立っています。その動きが、神経的に、どのように制御されているのか?神経生理学的領域に、動きについてのキネマティクス(エネルギー・運動量・角運動量)と、その動きの起こりとなる力についてのキネティクス(運動とその原因)を総合的に考えなくては、なりません。

例えば、身体の動きで、代表される歩行では、重力などの外力と、筋収縮によって生み出される筋張力を巧みに協調させ、目的に応じた身体の動きを表現しています。



解説しますと、筋張力調節を求心性入力による反射的な筋収縮と、随意的な筋収縮によってまかなう運動と、身体位置の制御など、主に随意的な筋収縮によって、筋張力調節を行う運動があります。

こうした身体の動きの発現において、重要な役割を果たす随意筋収縮は、 筋張の短縮を伴う短縮性筋収縮、筋張の伸張を伴う伸張性筋収縮、及び筋張の変化を伴わない等尺性筋収縮があって、これらを巧みに使い分けて合目的的な動きとして表現していることになります。

また、人が随意筋収縮を行う場合、随意指令によって、一次運動野の神経細胞が、興奮しますが、この興奮が、一次運動野から発して、脊髄の介在ニューロンや α 運動ニューロンとシナプスを形成する皮質脊髄路を経由して脊髄へ伝わり、脊髄α運動ニューロ ンが、賦活することで筋収縮が生じています。


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