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運動神経を刺激する Ⅰ

子供の頃から体育が苦手科目。大人になってからスポーツに挑戦するなんて今さら…。そんな悩みを抱かえる方々へ、今からだって遅くありません。やまおく体操を通じて、運動神経を一緒に刺激してみましょう。

運動神経が悪いとは…
実は、運動神経というものは、存在しません。筋肉は、脳の命令を伝える運動神経の刺激で動くと表現されていたために運動神経が存在すると誤解されてきました。運動ニューロンは、脊髄から全身に広がっており、末端は、枝分かれして神経終末となり、自らの意思で動かせる骨格筋まで伸びており、収縮・弛緩・伸張をコントロール(制御)しています。お腹側を通る服内側系は、体幹。背中側を通る背外側系は、手足動きを制御しています。スポーツが下手なヒトは、身のこなしの巧みさや、スキルの上達に関わっているのは、運動ニューロンではなく、小脳と大脳。小脳は、大脳の10分の1程なのに、1000億個以上と大脳よりも多くの神経細胞から構成されています。サッカーやバスケットボールのドリブル、自転車の乗りこなし、楽器の演奏などの動きは、慣れれば無意識で動かせますが、姿勢や重心をこまめに制御し、手足を協調してタイミングよく動かす複雑な情報処理が欠かせません。このデータ処理のプログラムが書き込まれているのが、小脳。脳科学では、小脳に保存されているこれら一連の動きを内部モデルと呼んでいます。



小脳と大脳皮質との連携に磨きをかける…
小脳は、運動ニューロンの活動を調整していますが、小脳→運動ニューロン→筋肉というルートでスキルが発揮される訳ではありません。隣接する小脳と大脳の大脳皮質は、互いに連絡しあって情報をやり取りするループがあり、小脳と大脳皮質との連携プレーで運動が行われています。例えば、記憶されている運動プログラムの実行命令を下すのは、大脳皮質のほぼ真ん中にある一次運動野。一次運動野は、運動ニューロンと接続しており、筋肉の動きをダイレクトに司ります。さらに、一次運動野の少し前方にある運動前野は、目から入力された視覚情報などを取りまとめて小脳に伝えています。そしてドリブルをしようか?とか、楽器をこんな風に演奏しようか?といった運動の実行を最終的に決断しているのは、額の奥にあり、意思決定や価値判断を下す前頭連合野です。運動神経がいいというのは、小脳に完成された多くのプログラムがあって、小脳と大脳皮質の連携がスムーズで、状況に応じた素早い精密プログラムが実施出来る能力のことを指します。


左右する小脳と大脳を鍛えると、運動神経が格段と良くなる
運動ニューロンの伝達スピードを引き上げることは、出来ません。小脳に多くの運動プログラムをインプットさせたうえで、小脳と大脳の連携によって多彩なプログラムを的確に運用してやると、運動神経が良くなります。小脳は、大脳の下部にあって、スキルを内部モデルとしてストックしています。小脳は、大脳皮質の一次運動野、運動前野、前頭連合野とのリンク。大脳皮質は、脊髄の連動ニューロンを始めとする各種ニューロンに情報を送っています。


姿勢と重心を正しく保つ予測的姿勢調節機能
運動神経が必要なのは、スポーツや楽器演奏といった高度なスキルが求められる場面ばかりではありません。グラつかづに立ったり、初めの一歩を歩みだしてまっすぐ歩くといった何気ない動きの背後にも、小脳と大脳皮質との連携プレーが、活躍しています。姿勢維持で大切な機能の1つに予測的姿勢調節があります。例えば、机に置いたペットボトルを右手で取って、立ったまま飲む動作について考えてみましょう。片腕の重さは、約4〜5キロ。右腕を前に差し出すだけでも重心の位置は、前になるはずです。ペットボトルを持つと更に重心が前に振られます。それでも倒れないのは、腕を伸ばす前に、重心が前へ移動しても平気なように体幹や下半身の筋肉を適度に制御・抑制するからです。これが予測姿勢調節であり、その一連の命令も小脳が深く関わっています。スポーツでは、ペットボトルを手で取るよりも遥かに複雑な動作を組み合わせていますので、予測姿勢調節は、一層重要になります。フィードフォワードでは、ボールを投げたり、打ったり、蹴ったりする動作の中では、手足が力を発揮する直前に、体幹がガチッとあんていします。これが、フィードフォワードの典型的な例です。体幹が安定してから、手足等への末端へ、鞭をしならせるように力(パワー)を伝えています。


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