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早寝は三文以上の徳

睡眠時間の長いフランス人は、1日8時間38分に対し、日本人女性は、7時間33分なのだそうです。欧州諸国では、男性より女性の方が睡眠時間が長いのに対し、日本では男性より女性の方が20分も短いそうです。世の男性のみなさん、働くお母さんにばかり負担が行くようになっている日本ですから、普段のゴミ出しだけじゃなく、もう少しお掃除やお料理などの家事手伝いをしてあげましょう 笑。


母親の労働時間が長いほど、遅くまで起きている子供も多くなります。先日、幼稚園のお迎え待ちで、お母さん達に生活スタイルをお聞きしてみましたところ、お迎えに来られているご家庭は、まだ大丈夫なのだそうですが、共働きのお母さんの仕事終わりが18時過ぎ、19時頃にお迎え、お買い物を済ませ自宅に帰り、お料理・お風呂・夕食を済ませての就寝が22時近くになるのだそうです。そうなると起きるのも辛いので、朝食を食べないで登園することになるでしょう。



夜22時以降に寝る未就学児の割合は、母親の労働時間が週20時間未満では35.5%であるのに対して、60時間以上では49.3%と約半数になるとのデータがあります。実際のところ、お母さんも疲れている訳ですから、テキパキと家事を済ませることも出来ないかと思われます。現代社会では起床時刻を遅らせるには限界がありますので、日本の子供は欧米に比べて1時間以上睡眠時間が短いことになるでしょう。



いくら良いものを食べて栄養豊富な血液を造ったとしても、睡眠により栄養豊富な血液を増やすことが出来ませんから、睡眠不足の影響は重大です。不眠症は他の慢性疾患よりも職場での事故や失敗との関連も高く、ここ30年豊かになっていませんから、気づかないうちに経済損失に繋がっているのかも知れません。何処かの経済ジャーナリストが話してましたけれど、睡眠不足による我が国の経済損失は約3兆5千億円と言われてました。



実は、深刻なのは子供の方です。大人と違って眠気に打ち勝つ能力が乏しいので、食事をしながら眠ってしまうこともあります。以前と違って先生に威厳がありませんので、授業中にボ〜としている就学児童も多く、いらだちが強くなり注意欠陥・多動性障害とみなされることもあるのだそうです。計算などの特定の分野の学習障害が起こったり、中高生でキレやすくなるのも関係しているかも知れません。


僕も学生時代から10年くらい前まで睡眠時間は4時間未満でした。40歳にもなると体力も衰え、目眩や耳鳴りと闘いながら仕事をしていることもありましたので、お客さんからお金を頂いているのに、きちんと誠心誠意で仕事に向き合えて無かったのかも知れません。

最近は、小さい子供が居ますので、夜20時頃には電気を消して寝ています。最初は何処か不安で眠りにつけませんでしたが、徐々に眠れるようになりました。精神的なストレスが少なくなって来ましたら、本当は、子供を早く寝かせるためにもっと力を注ぐべきです。



どのご家庭にも夜遅くまでTVを見たりゲームをしているのは悪いことだという認識があります。

例えば、先日カウンセリング来られた野球チームの指導者さんは、ウォーミングアップやクーリングダウンを真面目にやらないので、どうしたら良いか?との質問でしたが、チームの1日のスケジュールをお聞きしてみたら、夜21時頃まで照明設備を使ってまで練習をさせているそうで、学生さん達は、帰宅して夕食を食べてお風呂に入り、勉強もしないで床に入るのは24時頃になるんじゃ無いか?と話しておられました。

子供人口の減少だけじゃなく、別の理由でスポーツ離れの学生が増えている原因でもあるのだと感じますし、この生活スタイルが、身体にどのような影響を及ぼしているかもう一度考えてみてはいかがでしょう。と言う話になりました。



睡眠と肥満の関係

このところ健康コラムでは、睡眠と健康についてが続いていますが、実は、やまおくジムにご来館されている方々の中に、睡眠で困られて訪れるきっかけが出来た方々も少なくありません。

香川県の糖尿病による死者が人口10万人当たり約17人と全国的にも多い状況が続いてますので、運動指導者として気にしている部分が大きいのですが、これまでの数多くの研究でも睡眠時間と肥満の度合いとの間には、U字型(睡眠時間が長くても短くて良くない)関係があることが明らかになっています。



横軸に睡眠時間を縦軸にBMIを取ったグラフをご覧いただいても、統計的なデータですが、睡眠時間が長くても短くても肥満の指標であるBMI指数が高くなることが伺えます。

睡眠時間が短くなると肥満リスクが高まるメカニズムについては、少々個人差もありますが、睡眠食欲に関わるホルモンの変動、交感神経やストレスの影響、糖代謝の変化、身体の炎症反応の影響、エネルギー消費量の減少などの要因でも解明されています。

睡眠不足が肥満リスクを高める原因として最も有名なのは摂食ホルモンの影響です。摂食ホルモンは、食欲を増進させるグレリンと食欲を抑えるレプチンが、食欲や食行動に影響するホルモンです。同じ人でも睡眠時間が短くなるに従って血中グレリン濃度が上昇し、逆にレプチン濃度が低下しますので、実際に食欲も増します。また、たった数日の寝不足でも食行動に影響を与えるようなホルモン変動が生じることも知られています。



肥満のない健康な人を対象に、2週間に渡り9時間就床させる(最長9時間眠れる)時と、同じ人に2週間に渡り4時間しか就床させない(最長でも4時間しか眠れない)時で体重や内臓脂肪の変化を調べた研究があります。その結果、睡眠時間が短いときには長いときに比べて1日当たりの摂取カロリーが増え、体重増加は僅かでしたが、内臓脂肪が大きく増加することが分かりました。つまり体重計に乗るだけでは身体の奥底で進んでいる睡眠不足の悪影響は分からないと言うことになります。

ひょっとすると誰もが自分では気付かない程度の睡眠不足を抱えているかも知れませんから、睡眠不足を解消することで肥満リスクを低下させることができるかも知れません。自分で気付けない睡眠不足を潜在的睡眠不足と呼びますが、潜在的睡眠不足が怖いのは、問題点に気付いておらず、また自覚症状もないがゆえに、何年も何十年も同じ生活スタイルを続けてしまうことです。定期健康診断で肥満・糖尿・高血圧を指摘される前に、睡眠習慣をアプリなどを使って見直してみましょう。

睡眠時間が長くなると肥満リスクが高いメカニズムについては、今のところ分かっていません。肥満に陥りやすい人は、元々日常の活動量が少なく、座っている時間や横になっている時間も長いので、結果的に睡眠時間が長くなるのかも知れませんから、睡眠時間が長くなると肥満リスクが高いというよりも、生活スタイルが起因しているのではないかと考えられています。

また、睡眠時間と糖尿病、高血圧、うつ病、寿命などの様々な健康指標との間にもU字型関係が見られますので、何らかのメカニズムが存在していると疑われています。


夢を見ることで記憶を無くす…

お酒を飲むと記憶をなくしたりするのを、いわゆる酒乱と呼んでいますが、アルコールを代謝するために、アルコール自体をアセトアルデヒドという代謝できる物質に変える酵素(ADH)とアセトアルデヒドを酢酸に分解し水と炭素ガスに変える酵素(ALDH)の2つの分解酵素があり、アセトアルデヒドの代謝はうまくできるのですが、アセトアルデヒドに変えるのがうまく行かずに血中アルコール濃度が高くなり、アルコール中毒のような状態になります。海馬の血流が悪くなって記憶障害(ブラックアウト)を起こし、記憶が断片的になったり忘れてしまったりしています。



睡眠にも不必要な記憶を消去し記憶を整理する記憶忘却の働きがあると言われています。脳が活動レベルを低下させるノンレム睡眠に対し、脳が活発に活動するレム睡眠は、ノンレム睡眠の後に現れるため、生理的役割や記憶に及ぼす影響などのメカニズムはほとんど解明されていませんでした。

記憶の中枢である海馬に軸索を伸ばす神経細胞を標識するため、軸索末端から細胞体へ輸送される逆行性ビーズを海馬に微量注入したところ、睡眠覚醒の中枢である視床下部の神経細胞の一定数が標識され、その大半がメラニン凝集ホルモン産生神経(MCH神経)であることが分かりました。MCH神経はレム睡眠の制御に関わることも報告されています。

海馬が関与する記憶へのMCH神経の働きを検証したところ、MCH神経を一過性に活性化することで物体の認知記憶や恐怖と空間を結びつける記憶の成績が低下することが分かりました。活性化とは反対にMCH神経の活動を抑制した場合には記憶成績は向上しました。これらの所見は、MCH神経活動による記憶忘却を示すことになります。



水族館等でご覧になられた方もいらっしゃるかも知れませんが、タコは寝ながら体色を変化させています。ひょっとしてタコも夢を見ての感情を表してるんじゃと思われたりしますが、タコが夢を見ているか?どうか?調べることが難しいので、本当のところは分かりません。

記憶能力には限りがありますので、何らかの方法で記憶の取捨選択も必要です。朝起きて覚えている夢は処理しきれなかった記憶の残渣なのかも知れませんから、夢を見ない人は、実は効率よく記憶を消しておられたのかも知れませんね。


ちなみに動物達の睡眠時間…
 トラ:15.8時間
 リス:14.9時間
 ゴールデンハムスター:14.3時間
 ライオン:13.5時間
 ネズミ:12.1時間
 ウサギ:11.4時間
 ハンドウイルカ:10.4時間
 チンパンジー:9.7時間


今年新年の初夢は、何でしたか?

僕の夢は、いつも現実か?夢か?わからないような夢を見ることが多いのですが、前日に映画を見過ぎたのもあって、謎のウィルス蔓延がおさまった後に氷河期がやって来て人類が滅亡してしまう、とても疲れる夢でした 笑。凍った人間を叩いて粉々にしていく侵略者みたいな生物が現れて、侵略者に見つからないよう粉々になった物を、こっそり集めて来てスマホでスキャンしてソフトで復元するアプリ開発したところで目が覚めました 笑。その後は、きっとみんなで戦いたかったんだと思います。

夢が自身の精神機能(精神状態)と関連して内生的に生まれる現象であると唱えた学者さんが居たそうで、夢は主に霊やお告げなど宗教的な視点から語られ、その中では夢は神や自然など外部から与えられる体験だと信じられてました。夢占いとは莫大な統計データによるもので、霊やお告げなど宗教的な視点によってまとめられてますね。夢は抑圧された願望の無意識的な発露であり、その暗示を読み解き、抑圧から解放することで、本人も自覚しないストレスに起因する種々の心身症状が治癒するとまで言われてました。



その後の脳科学の進歩によって、夢の解釈(夢判断)による治療は科学的根拠に乏しいという批判が高まり、汎用性(多くの患者に効果がある)や再現性(同じ治療法を行えば同等の効果が得られる)も十分に実証されていないこと、簡便な手法ではないことなどの理由から、現在の精神医療の中ではほとんど行われることはありません。しかし、誰もが夢を脳科学的に扱い、夢と精神機能、特に記憶や情動との関連に科学的な考察することに非常に興味あるものです。

夢の多くはレム睡眠中に見ています。レム睡眠中に被験者を起こすと、僕の今年の初夢のように、かなりの高率で直前まで鮮明な夢を見ていたことを思い出すことが出来ます。レム睡眠は睡眠開始後に約90分周期で出現し、一晩に4、5回ほど繰り返しています。明け方になるほどレム睡眠は長くなり、鮮明でストーリー性のある夢を見やすい傾向があります。ノンレム睡眠中にも夢を見ることがありますが、ぼんやりとした曖昧な内容の夢が大部分ですので、これがいつもの夢ですから、レム睡眠でもノンレム睡眠でも夢を見ていることになります。



ちなみに、夢を見ると表現するように夢は視覚体験を中心にしています。それは、レム睡眠時には、脳の下部に存在する脳幹と呼ばれる部位から視覚に関わる大脳皮質を活性化する神経刺激が発せられているからです。脳幹の橋(Pons)から外側膝状体というところを介して大脳皮質の後頭皮質に向かう脳波をPGO波と呼んでいますが、外側膝状体や後頭皮質も視覚に関わることから、夢を見ているということになっています。レム睡眠中に大脳皮質が活性化され、各領域に保存された様々な記憶が引き出され夢体験となると考えられています。PGO波で刺激される後頭葉の活動は夢の中では鮮明な視覚体験となって現れているのでしょうね。

アスリート時代とかに、レースの情景を思う浮かべ成功する体験を何度も何度も頭の中で繰り返すメンタルリハーサルなどの心理トレーニングを積んだりしていると、大脳皮質の活性化のされ方によっては、音や匂いに満ちた夢になることもあるかも知れません。単なる思い込みが強いだけかも知れませんがね。



また夢を全く見ないという人もいらっしゃいますが、そのような方でもレム睡眠は出現しています。実際に夢を見ているけれど、思い出せる夢と忘れる夢の違いのメカニズムについては未だ分かっていないのですが、起床後に思い出せない場合がそれに当たります。癌などを見つけるための検査で、放射性同位元素を含んだ弱い放射能を出すお薬を注射して体内の代謝状態を画像化するPETを用いて、睡眠中の脳の活動を調べた論文もありますが、怒りや恐怖などの情動の発生や記憶に関わる扁桃体や、記憶の保存に重要な海馬などの脳部位がレム睡眠中に活性化していることを確認した文献が多数ありましたので、みんな夢を見ているはずだということになっています。

夢占いは、科学的根拠がありませんが、実は、夢の中で紫色に光る洞窟がいつも見えます。その中を除くと綺麗なお花畑が見えるのですが、その中に入るのが怖いので、足だけ突っ込んだことがあります。その翌日から開眼したような気がしたのですが、あれは何だったのでしょうか。やはり夢だったのかな…笑


瞑想

スピリチュアルなものとか、何だか怪しいというイメージが根強く浸透していますが、最近では、マインドフルネスという名目で、瞑想が企業フィットネスの一環として社員研修に導入されたり、生活の一部に取り入れています。みなさん自身は、いかがでしょうか?

先日、やまおくジムのお客さんの経営される企業さんにお邪魔して、脳科学から見た瞑想についての講話と実技指導をしてきました。頭の中が空っぽになったり、無の状態になるのは最終境地のことを言います。瞑想には心を1つに集中する凝念、心の働きを静め澄み切った状態になる静慮、自分の意識が消え対象が光り輝く状態に入る三昧の三段階があり、その段階によって体験することも異なります。



初級は、1つのことに意識を向ける段階から始まります。何に意識を向けるのかは人によって異なっていても構いませんが、感覚を使うことがやりやすい方法ですので、初心者の方は呼吸に意識を集中することから始めると良いと言われています。他にも歌うことや食べることに集中するといったやり方もありますが、兎に角、何か1つのことに気持ちを集中させる状態、これが瞑想状態の入口となります。

瞑想をやってみたことがある方なら経験があるかもしれませんが、何か1つのことに気持ちを向けようとすると、そういえばあれやってないなぁなど別のことを思い出してしまったり、気持ちが移ることがあります。これでは全然瞑想になっていないと思われるかも知れませんが、これも瞑想の1つのステップになります。



脳の視点から捉えても、感覚の中でも扱いやすくて単調性がある呼吸に意識を向けることは、瞑想に適しています。呼吸のように単調なもの、同じような情報に対して注意を向け続けていくと、人間の脳は、どうしても飽きてしまいます。例えば面白く無い先生による授業で、あれしたいこれしたいと別のことを考えてしまったりすることはありませんでしたか?。これはマインド・ワンダリング(心ここにあらず状態のこと 笑)と呼ばれる無意識に近い脳のおしゃべり的な状態になります。生物としてごく当たり前の現象です。

実は、この時に多くの場合、無意識の中では前後1日の出来事について考えたりしています。人は少し未来のことだったり、少し過去のことに囚われやすい生き物でもあるからです。

人がそのようにぼんやり考えている時、脳の中では、脳疲労予防改善プログラムでも触れたデフォルトモードネットワークが活動的になっています。無意識でやっている行動などがデフォルトネットワーク、意識的に行う思考や行動がセントラルエグゼクティブネットワークです。途中で、あ⁈今別のこと考えてる…と気づけると、それはデフォルトモードネットワークが活性化したんだなと思って下さいね 笑。



デフォルトモードネットワーク(DMN)とセントラルエグゼクティブネットワーク(CEN)の間には、DMNとCENのハブ的な役割を果たすセイリエンスネットワーク(SN)があります。この3つのネットワークは脳神経科学の視点からも人間の思考や行動に影響を与える大事なネットワークと言われています。瞑想をすることで、自然とこの3つのネットワークを行き来し、活用することが出来ます。これが瞑想の効用の1つなのです。

マインド・ワンダリング現象が起こり気が逸れた時、また呼吸に意識を戻すことを続けていくと、必然的に今この瞬間の自分自身に注意を向けることになります。瞑想をやる意義は、今この瞬間に囚われる練習でもあります。もし指導技術を今より伸ばしたいとお考えの方は、是非、習慣的に取り入れてみて下さい。



僕の学生時代は、競泳以外に柔道をかじっていたことがあって、これに気づくことが出来ました。スポーツしている最中の瞑想を仕事中に再現出来ると、同じ1時間仕事をしてる中で2つ3つと同時に複数の脳を刺激することも出来、見る見る成績を伸ばすことに繋がります。過去に高松商業野球部が全国制覇した時のように、常に1回戦負けだった高松中央高校野球部に処方したところ、ベスト4まで進出出来ました。脳科学から見た瞑想、是非お試し下さいね。

様々な分野に神経科学の知見を応用しておられる青砥瑞人さんの「ハッピー・ストレス」全6話 60min
Ep.1 神経科学からみるストレス
Ep.2 ストレスは「いいやつ」でもある 
Ep.3 ダークストレスとの付き合い方
Ep.4 どうやってストレスに気づくか
Ep.5 ドーパミンを活用する
Ep.6 ストレスをハピネスに
https://voox.onelink.me/KbDS/PRT

ご興味あれば、こちらもお聞きになられると、将来、自費リハが盛んになる頃には、他の施設と格差を生み出すことが出来るようになるかも知れません。


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